ワイングラスの正しい持ち方は?
知っておくべきマナーについて紹介
公開日:2025.1.30

みなさんはワイングラスをどのように持っていますか。映画やテレビではグラスの脚の部分を指で挟んで持ったり、グラスの丸い部分を手のひらで抱えるように持ったりしていますが、どの持ち方が正解なのか迷うことはありませんか?
この記事では利用シーンに合わせたワイングラスの持ち方やマナーについて詳しく解説します。ワイングラスの正しい持ち方やマナーを知っていると、パーティーやフォーマルな場面でよりワインを楽しむことができますよ。
ワイングラスには4つの部位がある
ワイングラスには「ボウル」「ステム」「ベース」「リム」という4つの部位があります。これらの部位はワインの香りや味わいがよく飲み手に伝わるように設計されており、それぞれが重要な役割を担っています。各部位の役割を詳しく説明していきましょう。

ボウル
ワインが注がれる本体の部分が「ボウル」です。丸い形状をしているのは、ワインを空気に触れさせて本来の香りを立たせたり、まろやかにしたりするため。ボウルは、ワインの魅力を最大限に引き出す部位だと言えるでしょう。
ワインの種類によって選ぶべきボウルの形状は異なります。香りをよりふくよかに感じさせるために大きく丸い形状になったものもあれば、ストレートに香りを伝えるためチューリップのように縦長の丸状をしているグラスもあります。スパークリングワインのグラスは、泡立ちがきれいに見えるように細長く作られているのが一般的。
ボウルはグラスを傾けたときにワインの色を見たり、内側にワインが残る状態を見て粘性をチェックしたりといった役割も果たします。ボウルの内側のワインをじっくり観察すると、アルコールの強さや果実の甘味がどれくらい残っているかをイメージすることができるのです。
ステム
ボウルから伸びている脚の部分を「ステム」と呼びます。ワイングラスの持ち手になる部分です。ワインはおいしく飲める温度があり、ワインの温度を保つことが理想的。ここを持つと、ワインへ体温が伝わりにくくなります。
古代ローマ時代にはすでにガラスでできたワイングラスがあり、当時からステムがあるワイングラスでワインを飲んでいました。最近では、ステムのない「ステムレスワイングラス」も発売されています。これは「自宅でワインを飲んだ後にステムを折ってしまうのが怖い」「小さな収納スペースにワイングラスを収納したい」などの要望に応えた、より気軽に使えるワイングラスの一種です。
ベース
ワイングラスの上部を支えている底の部分が「ベース」です。フットと呼ばれることもあり、ワイングラスを安定させる土台の役割を持っています。上部が大きく作られているワイングラスはベース部分が大きくなっており、しっかりと支えられるように設計されています。メーカーのロゴやデザインなどが装飾されることもあり、ワイングラスの個性が楽しめる部位でもあります。
最近ではアウトドアでワインを楽しめるようにボウル、ステムのグラス上部とベースのグラス下部が取り外せるワイングラスなども販売されています。
ベースを持ってワインを飲む方もいますが、あまり安定しないのでおすすめできません。
リム
「リム」は、ワインを飲むときに唇が触れるグラスの縁(ふち)の部分です。薄い作りの方がよいとされます。リムが薄いとワインの温度が伝わりやすく口の中に抵抗なく入ってくるので、よりおいしく感じられるのです。リムは高級なグラスほど薄く作られており、ガラスの材質によって口当たりも変化。硬度の高いクリスタルグラスが、最高級とされています。
リムの形状は、グラスを傾けたときにどれくらいの量が口に入るかを計算して作られています。ワインは口の中に入ってくる量で、味の感じ方が変わるのです。
繊細で軽い口当たりのワインには、舌に少量ずつ流れるようにリム部分が狭いグラスを選ぶと、繊細な味わいを感じることができます。しっかりとしたフルボディのワインにはリム部分の広いグラスが最適。舌の上に広く流すと、豊かな果実味やタンニン、複雑な味わいをバランスよく感じることができます。
知らなかった!
日本と海外ではワインの持ち方がちがう?
日本では多くの方がステムを持ってワインを飲みます。海外との違いはあるのでしょうか?ワインの持ち方(マナー)の違いについて詳しく紹介します。

ステムを持つのは日本だけ?
ワイングラスのステムを持つのは、特に日本ではよく見られるマナーです。海外でもステムを持つのが一般的で、有名なワイン雑誌Wine Spectator(ワイン・スペクテーター)にも、ワインをよりよく保つために、ステムを持つとよいと記載されています。
ステムを持って飲む最大の理由はワインの温度が保たれることです。ワインの管理がしっかりとされているレストランなどでワインを飲むときは、なるべくよい状態で飲むためにステムを持って飲みましょう。
また、香りや見た目など、ワインの状態を確かめるときにはステムを持ったほうがよいでしょう。グラスを傾けて色や粘性を見るときに、ステムを持った方が傾けやすいからです。香りをチェックするときにグラスを回すスワリングも、ステムを持った方がやりやすいです。レストランでホストがワインをオーダーしたときに行うテイスティングも、ステムを持つとスマートです。
ステムを持つときはボウルに近い位置で親指、人差し指、中指の3本で挟むようにしっかり持ち、薬指と小指はベースに添えるとよいでしょう。
それって本当?海外ではボウルを持つのが一般的?
立食パーティーが多い海外では、マナーとしてボウルを持つ方もいます。ボウルを持つ最大のメリットはずばり安定性。ワイングラスのステムを持って歩き回ると不安定でワインがこぼれる場合があるので、ボウル部分を持つほうが安心です。ゲストのドレスや会場を汚してはいけないという気づかいから生まれた文化です。
また、気軽にワインが飲めるビストロや居酒屋でもボウルを持つことをおすすめします。多くの方が行きかう店内では、人にぶつかることもあるので、しっかりとボウルを持つとよいでしょう。
ワインをより楽しむためにボウルを持つこともあります。それは冷えすぎたワインが提供されたとき。ワインは温度によって香りや味わいが変化します。ボウルを持ち、自身のぬくもりで好みの温度までワインの温度を上げるのです。ワインの変化を楽しみ、よりおいしく飲む工夫のひとつです。
ワインの持ち方に関する疑問点 Q&A
ワインの持ち方について、よくある質問に答えていきます。さまざまなシーンでのワインの持ち方について、疑問を解消していきましょう。

Q.注いでもらうときにグラスを持ってはいけないのでしょうか?
A.注いでもらうときにグラスを持つと、マナー違反とされることがあります。
グラスを持つと不安定になり、ワインを注ぎにくくなるためです。スマートに注ぎ終わるのを待ち、最後に「ありがとう」と一言添えるとよいでしょう。
高級レストランなどではワインは自分たちで注がずに、ソムリエやサービススタッフについでもらうのがマナーですが、ソムリエやスタッフがいない場合は、レディーファーストで男性から女性へ注ぎましょう。注ぐ量はグラスの3分の1程度です。あまり多く入れてしまうとワインが空気に触れる部分が少なくなり、香りが立ちにくくなります。
Q.乾杯時にはワイングラスをぶつけて音を鳴らすのはNGですか?
A.グラスをぶつけずに宙にかかげて、アイコンタクトを交わすのがマナーです。
グラスをぶつけて音を鳴らす文化は中世ヨーロッパで始まりました。お互いのグラスをぶつけて、液体やグラスに毒が入っていないことを証明する儀式が起源と言われています。激しくグラスをぶつけると、液体が空中に飛び出し互いのグラスに入るので、相手のワインに毒が入っていると飲むことができなかったのです。現代では、その動作だけがマナーとして残ったと言われています。
日本ではグラスをぶつけて乾杯することも多くあります。そのときは静かにグラスを合わせる感覚で行いましょう。ワイングラスは繊細なので、割れたりヒビが入ったりしないように気をつけてください。
Q.イタリアではワイングラスではなくコップで飲むと聞きましたが、本当ですか?
A.本当です。
大衆的なトラットリアやヴェネツィアのバーカロなどでは、コップでワインが出てくることもあります。この形状のグラスでは高級なボトルワインではなく、果実味が豊かですっきりとしたハウスワインや量り売りのワインを飲むのがイタリアンスタイル。コップ状のワイングラスは、ワインそのものの味をダイレクトに味わえるのが特徴です。また、美食の地エミリア=ロマーニャでよく飲まれる赤の微発泡ワイン、ランブルスコは「スコデッラ」と呼ばれる白く丸い陶器で飲まれることもあります。
まとめ

今回はワイングラスの持ち方やマナーについて解説しました。
皆さんが思い描くワイングラスの持ち方と違いがありましたか?さまざまな場面でワインを飲むときに今回の記事が皆さんに役立てればうれしいです。どれが正解というわけではありませんがパーティーや普段のおうちのみなどTPOにあわせた持ち方を知っておくと困りませんね。Buona vita da vino!(よいワインライフを!)
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