プロセッコの魅力とは?
いま世界中で大人気のイタリアが誇る
爽やかなスパークリングワイン

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爽やかなスパークリングワインとして世界中で大人気のプロセッコ。成功の秘訣は気軽に楽しめ、品質が安定していることだ。難しい知識も必要なく、理屈も要らない。プロセッコを抜栓すればパーティーが始まる。世界各地で楽しい時間を彩るプロセッコの魅力をご紹介しよう。

目次

プロセッコとは

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プロセッコはイタリア北東部で造られるスパークリングワインだ。主体となる品種グレーラ(最低85%)は青りんご、白桃、柑橘類、白い花などの可憐かつフレッシュなアロマを持ち、軽やかな飲み口で、酸がフレッシュで、心地よいミネラルが感じられる。グレーラ以外にヴェルディーゾ、ビアンケッタ・トレヴィジャーナ、ペレーラ、グレーラ・ルンガといった土着品種や、ピノ・ビアンコ、ピノ・ネーロ、ピノ・グリージョ、シャルドネといった国際品種をブレンドすることもできる。

グレーラの華やかなアロマとフレッシュな飲み口を活かすためにプロセッコのほとんどはシャルマ方式で醸造される。まず白ワインを造り、それを密閉式タンクで二次発酵させて、スパークリングワインを造るというやり方である。

近年ブームになっているのが、スイ・リエヴィティと呼ばれる濁り酒だ。これは白ワインを瓶内で二次発酵して、デゴルジュマンをせずに、澱を残したままリリースするプロセッコだ。残糖ゼロの辛口で、酸とミネラルが鮮やかに感じられるので、食事によく合う。

2020年からD.O.C.プロセッコに導入されたのがプロセッコ・ロゼだ。グレーラ85-90%にピノ・ネーロを10-15%ブレンドして造られるロゼ・スパークリングワインで、グレーラの爽やかで華やかな香りと味わいに、ピノ・ネーロの赤い果実やボディが加わり、プロセッコの新たな魅力を引き出している。

数は多くないがフリッツァンテ(弱発泡)やスティルワインも造られる。

プロセッコには3つの呼称がある。D.O.C.G.コネリアーノ・ヴァルドッビアデネ・プロセッコ、D.O.C.G.アゾロ・プロセッコ(またはアゾロ)、そしてD.O.C.プロセッコである。

まずD.O.C.G.コネリアーノ・ヴァルドッビアデネ・プロセッコはコネリアーノとヴァルドッビアデネの間に広がる美しい丘陵地帯で造られる。アルプスに近いため夜は温度がかなり下がり、酸とアロマが鮮やかに残る。上品なミネラルを持つ優美なプロセッコである。コネリアーノ周辺はなだらかな丘陵が広がり、標高も低く、気候が温暖で、果実味豊かで、やわらかい味わいのプロセッコが生まれる。ヴァルドッビアデネ周辺は標高が高く、傾斜が急で、気候が冷涼なので、清冽なアロマとシャープな酸を持つプロセッコが生まれる。多様なテロワールを明確にするために43のリーヴェ(単一区画)が定められていて、ラベルに表記することができる。

コネリアーノ・ヴァルドッビアデネから少し南西にあるアゾロを中心とした丘陵地帯で造られるD.O.C.G.アゾロ・プロセッコ(またはアゾロ)はコネリアーノ・ヴァルドッビアデネと比べても遜色がなく、アゾロの方がより勢いがあり、ボディがしっかりしている。

プロセッコの人気が高まったので、伝統的産地だけでは生産量が足りなくなり、2009年に産地を拡大し、よりカジュアルなプロセッコを誕生させることにした。D.O.C.プロセッコだ。ヴェネト州5県、フリウリ=ヴェネツィア・ジュリア州4県にわたる広大な産地は、北に延びるアルプスの冷気と南のアドリア海の温暖な海風の恩恵を受ける。産地のほとんどが平野部にあり沖積土壌が多く、シンプルだが心地よいワインが生まれる。80%が輸出され、世界的プロセッコブームを支えている。

プロセッコの歴史

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プロセッコは本来ヴェネト州、フリウリ=ヴェネツィア・ジュリア州で伝統的に栽培されていたセミ・アロマティックな白ブドウ品種の名前、それから造られるワインの名称であった。

その歴史を振り返ると古代ローマのオクタヴィアヌス帝の妻リヴィアが愛したPucinoプチーノと呼ばれたワインが今のプロセッコではないかという説があるが、確かなことはわからない。フリウリ=ヴェネツィア・ジュリア州の州都トリエステ近くにプロセッコという名の村があり、プロセッコという品種はこの村からイタリア北東部に広く広がったのではないかと考えられている。

私たちが今日知っている形のスパークリングワインとしてもプロセッコが花開いたのはコネリアーノ・ヴァルドッビアデネ地区だ。昔からこの地区ではプロセッコを使って原始的な瓶内二次発酵スパークリングワイン(現在のスイ・リエヴィティ)が造られていたが、19世紀後半にシャルマ方式が発明されてからはタンクによる二次発酵が広がり、プロセッコを造るワイナリーが次々に誕生した。コネリアーノ醸造学校で優れた醸造技術を学んで卒業した醸造家がプロセッコの品質の安定に寄与したことも重要である。 戦後になると、プロセッコは誰もが楽しめる親しみやすい食前酒として、イタリア全国で飲まれるようになる。1969年にはD.O.C.プロセッコ・ディ・コネリアーノ・ヴァルドッビアデネ、1977年にはD.O.C.モンテッロ・エ・コッリ・アゾラーニ(現在のD.O.C.アゾロ・プロセッコの原型)が認定された。1980年代以降はバルなどで飲む食前酒として定着し、「プロセッキアーモ(プロセッコしようぜ)」という造語もできたほどだ。

世紀が変わる頃になるとプロセッコは海外でも大きな成功を収める。それにともない大きな問題が発生してきた。プロセッコ人気にあやかったブラジル産のプロセッコ、オーストラリア産のプロセッコなどが安い価格で世界中に溢れるようになったのだ。当時プロセッコは品種名でもあったので、世界中のどこで造られようとプロセッコを名乗ることができた。そこで外国産のプロセッコを駆逐するための苦肉の策して編み出されたのが、それまでプロセッコと呼ばれていた品種をグレーラという名前に変えて、プロセッコは品種名ではなく、ワイン名とすることであった。品種名は世界中の誰もが使用可能だが、ワイン名は保護されている。これによりどこで造れるワインでも品種名グレーラは名乗れるが、プロセッコはD.O.C.、D.O.C.G.で認められたワインしか名乗れなくなった。

2009年には世界的に急増するプロセッコに対する需要に応えるためにD.O.C.プロセッコが誕生した。同時にコネリアーノ・ヴァルドッビアデネ・プロセッコがD.O.C.G.に昇格、D.O.Cモンテッロ・エ・コッリ・アゾラーニから独立したアゾロ・プロセッコ(またはアゾロ)もD.O.C.G.に昇格した。

プロセッコとシャンパーニュ、
カヴァとの違い

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メトド・クラッシコ(瓶内2次発酵)で造られるシャンパーニュやカヴァは白ワインに糖と酵母を加えて瓶に詰め、栓をして、二次発酵を行う。アルコール発酵により糖がアルコールと炭酸ガスに分解されるが、炭酸ガスは逃げ場がないためにワインに溶け込み、スパークリングワインが誕生する。 プロセッコで使用されるシャルマ方式は二次発酵を瓶ではなく、大きな密閉式ステンレスタンクで行う。一気に大量のスパークリングワインを造ることができるので、コストが下げられる。またメトド・クラッシコは瓶内二次発酵が終わった後、アルコール発酵の過程で発生した澱とワインを接触させた状態で1年~10年ほど熟成させるのに対して、シャルマ方式によるスパークリングワインは二次発酵後の熟成期間が短いので、品種本来のアロマがストレートに出やすい。複雑さよりも、気軽に楽しめる爽やかさを求める消費者に愛されるスタイルである。

今やD.O.C.プロセッコの生産本数は6億本を超え、D.O.C.G.コネリアーノ・ヴァルドッビアデネ・プロセッコの1億本、D.O.C.G.アゾロ・プロセッコの2,750万本を合わせて、8億本を伺う勢いである。シャンパーニュの3億本をはるかに引き離していて、世界中で最も飲まれているスパークリングワインとなっている。

世界中で人気の理由

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プロセッコの最大の魅力は、何と言っても誰にでも愛される分かりやすさだ。青リンゴや白桃の喜ばしい香りがあり、口中ではピチピチとはじけるようにフレッシュで、爽やかだ。変に気取ったところがなく、ストレートな味わいなので、どのような場でも楽しめるし、幅広い料理にもマッチする。価格がお手頃であることも嬉しい。

アペリティフに最高だし、食事とともに楽しめる。またカクテルにも使われる。最も有名なスプリッツはカンパリかアペロールに氷とプロセッコを入れたカクテルで、今やイタリアのアペリティフの定番となっている。ヴェネツィアのハリーズバーで有名になったベリーニはピーチジュースとプロセッコのカクテルだ。

そのまま飲んでもよし、暑い夏なら氷を入れて飲んでもよし、カクテルにしてもよしと融通が利く点もプロセッコが愛される理由である。

気取らず、気軽に楽しめ、しかも品質が安定しているプロセッコは、まさに人生を楽しむイタリア人の生活に欠かすことのできないアイテムなのである。

プロセッコの種類

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プロセッコは1リットルあたりの残糖量がラベルに表示されているので、辛口か甘口かがわかるようになっている。最も辛口なのがBrut Natureブリュット・ナチュール(3g未満)でスイ・リエヴィティに使用される。次に辛口なのがExtra Brutエクストラ・ブリュット(6g未満)だ。最近増えているのがBrut ブリュット(12g未満)で、幅広い食事に合わせることができる辛口だ。 今でも最も多く飲まれているのがExtra Dryエクストラ・ドライ(12g~17g)で、少し甘味を感じさせ、やさしい口当たりなのでアペリティフに最高である。Dry ドライ(17g~32g)は繊細な甘さを感じさせ、ワインだけを楽しんだり、パネットーネなどと合わせることができる。最も甘いのがDemi Secデゥミ・セック(32~50g)だが、あまり見かけない。

シャルマ方式で造られるスパークリングワインであるプロセッコのガス圧は4~5気圧と、シャンパーニュなどの瓶内二次発酵スパークリングワインの5~7気圧と比べるとやや低めである。

プロセッコを楽しむためのペアリング

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プロセッコは伝統的にアペリティフとして楽しまれることが多かった。仕事帰りに友人達とバルに寄ってプロセッコを引っかけるのを楽しみにしている人が多い。ヴェネツィアではバーカロ(立ち飲み居酒屋)で、チッケッティ(簡単なおつまみ)を食べながらプロセッコを飲んで、何軒もはしご酒をするのが習慣である。広場で友人と出会うと一杯のプロセッコを一緒に楽しむし、午後には皆でプロセッコを飲みながらお喋りをする。会話を楽しむ場にプロセッコが花を添えているのだ。

最近は食中酒として楽しむ人が増えている。イタリアも食がライトになり、重い肉料理が減り、魚介類や野菜料理が増え、おつまみのような料理で簡単に食事を済ますことが多くなったこともプロセッコが食中酒として伸びている要因である。

プロセッコはサラミ、生ハム、ナッツ類、オリーブ、オムレツなどの前菜によく合い、また揚げ物(魚介類のフリット、日本の天ぷら、お米のコロッケなど)との相性が抜群である。白身魚のカルパッチョ、リゾット、パエリアなどとも最高だ。

近年増えた夏の暑い日、会食が続いて軽い食事で済ませたい時、軽めのランチで少しワインを飲みたい時など、プロセッコがほしくなるTPOは数多くある。

おすすめのプロセッコ銘柄

プロセッコのブランドは数多いが、絶対に安心できる銘柄をご紹介しよう。

ベッレンダ/“サン・フェルモ”プロセッコ・スペリオーレ・コネリアーノ-ヴァルドッビアーデネ・ブリュット

おすすめのプロセッコ1

ベッレンダ
“サン・フェルモ”プロセッコ・スペリオーレ・コネリアーノ-ヴァルドッビアーデネ・ブリュット
/750ml

3,679円(税込)

商品コード:6617

ベッレンダはプロセッコの名手として知られる家族経営ワイナリー。昔から辛口のプロセッコにこだわってきた。青リンゴ、白い花のフレッシュな香りで、味わいは清らかで、シャープな酸が生き生きとしていて、涼しげな味わいだ。心地よいミネラルがあり、まさにワンランク上のプロセッコ。魚介類や野菜を使った料理との相性がよく、食中酒として楽しめるプロセッコの理想型。

ベッレンダ/“フラテッリ・コスモ” プロセッコ・エクストラ・ドライ

おすすめのプロセッコ2

ベッレンダ
“フラテッリ・コスモ” プロセッコ・エクストラ・ドライ /750ml

2,223円(税込)

商品コード:26164

リンゴ、桃、メロンのフルーティーな香りと、チャーミングな果実を感じさせる味わい。ほんのり甘さを感じさせるエクストラ・ドライなので、口当たりがよく、万人受けする味わい。これだけを楽しんでもいいし、前菜などと合わせても美味しい。アペリティフとして世界中で愛されているプロセッコの魅力を知るのに最高の1本。

ベッレンダ/“フラテッリ・コスモ” プロセッコ・ロゼ・エクストラ・ドライ

おすすめのプロセッコ3

ベッレンダ
“フラテッリ・コスモ” プロセッコ・ロゼ・エクストラ・ドライ /750ml

2,535円(税込)

商品コード:8164

大ブームとなっているプロセッコ・ロゼ。美しいピンク色で、泡はきめが細かい。チェリー、赤い果実、野いちごの爽やかな香りと、しっかりとして、調和のとれた味わい。後口に心地よいほろ苦さを感じさせ、サラミ、生ハムなどとよく合う。鶏の唐揚げ、コロッケなどとも意外に合う。オリーヴェ・アスコラーナ(オリーブの肉詰めフライ)とは最高。色も美しく、食卓に華やかさを与えてくれる素敵なワイン。

プロセッコの選び方

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プロセッコには様々なタイプがあるが、上にお薦めした3種類を飲んでいただければ、プロセッコの全体像をざっくりと捉えていただけると思う。

アペリティフや午後のカンバセーションワイン(お喋りのお供のワイン)としてはやや甘さを感じさせるエクストラ・ドライかドライがいいだろう。食事と楽しむなら辛口のブリュットか、濁り酒のスイ・リエヴィティが最高だ。スイ・リエヴィティは辛口な上に、酸とミネラルがしっかりと感じられるので、やや脂っこい料理とも相性がいい。中華料理やエスニック料理と楽しむなら、ボディもしっかりして、包容力のあるプロセッコ・ロゼがお薦めだ。ただこれはあくまで目安であって、プロセッコはどのカテゴリーでも基本的に幅広い料理に合う。

まとめ

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プロセッコは誰からも愛される魅力的なワインで、いつでも、どこでも、肩肘張らずに気軽に楽しめることが魅力だ。よく冷やしてアペリティフとして楽しむもよし、辛口のものを食事と楽しむもよし、カクテルにも自由にアレンジができる。忙しい日常の中でほっと一息つく寛ぎの時間を彩ってくれるのがプロセッコだ。屋外で楽しむにも、家飲みにも最高のスパークリングワインである。

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